《第1話》ペオル山の主神

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ペオル山の麓の町ヘルモン村から森を抜け 湿地を抜けた泉の先。 開けた平原に佇むのは シオン国。 シオン国は魔物の進行を退き 人々が平和に暮らす町。 そこの中心にある一際大きな『ギルド』と 書かれた商業的な建物の中には 屈強な戦士たちが集まり、 壁に貼られた魔物や人の顔の書かれた手配書や 大きな世界地図には何やら赤い印がつけられている。 場違いな雰囲気に青年と少女は恐る恐る 入口から中を覗いてだけいる。 「なぁ、コレがギルドか、、、?」 「うん。きっと。みんな立派な鎧を着て強そ  うだもの。」 「そうだな。あのターバン巻いてるの  が依頼主か?何人もいるけどみんな身なり  が立派だな〜。」 そんな二人の背後から無邪気な青年が 急に大きな声を出し肩を叩く。 「わっ!!」 「わぁぁぁぁ!!!????」 二人は驚き飛び上がる。 その姿を見ると、楽しそうに青年は豪快な笑顔で笑いだした。 「アハハハハ。ごめんごめん。なんだか覗き  込む姿が可愛かったからイタズラしたくな  っちゃって。」 そう言う青年はこのギルドの中でもひときわ目立つ青碧の金で縁取られた鎧で白の挿し色。 肩まで伸びた癖のある毛で女性かと見間違える端正な顔立ちが 鎧も相まって清楚な王子様のような雰囲気を醸し出させる。 「ここは初めてかい?僕が案内してあげる  るよ。」 キラキラした笑顔で言うものだから 断りきれず、いや助かるのだが なんだか王子様のリードに躊躇いながらも ギルドの内部を丁寧に説明を受ける。 「このギルドは15年前に誕生した勇者を育成  する為のギルドでね。各方面から志願者や  スカウトをして、勇者の志や信念、歴史  あと、魔術や剣術、武道の基礎を学び、  才能の向上や技術の会得が出来る。  ほら、そこで食事してる人もいるでしょ。  ここのギルドでは飲み食いも自由。  勇者の生活の基盤を支えているんだけど  その資金を得てるのがあれ。」 ギルドに飾ってある鎧を着た人いくつもの写真。その下には金額が記されている。 A〜Eでランクが分かれていて、 それに応じて金額が発生。 「ちなみに僕の名前はアロン。この英雄の  ギルドの一番人気の勇者さ。」 アロンの写真の下には 56000銀貨 と、記されている。 「56000、、、  私達銀貨3枚しか、、、」 つまりはギルドの勇者に助けを乞う為には お金がいる。 青年と少女の住むヘルモンの村は 農業で生計を立てており ただでさえ貧しいのだが ベルフェゴールへ供物を納めるようになってからは収入源が無くなり 手持ちのお金は殆ど無かった。 「そっか君たちは依頼に来たのだね。  ちなみにどこの街の、、、」 そう聞いている所にギルドの従業員が小走りにやってくる。 「アロン様!またそんな雑用を。あなたはギ  ルド一番の花形なのですからそのような事  はせずとも」 「いや、僕がやりたいからやってるんだ。」 「そうなんですね。さすがアロン様と言うべ  きですが。そんな事より依頼のお時間で  す!今すぐ馬車でお送りしますので。」 「もうそんな時間か〜。  ごめんね。君たちの依頼、僕がやってあげ   たいんだけど、、、  あ、そうだ!」 そう言うと急ぎ足でアロンはどこへやら。 そうして帰ってくると 「君たちによかったら紹介したい人物がいる  んだ。僕も依頼を終えたら駆けつけるか  ら。」 と、一人の男性を置き去りにに 自分は忙しく足早にその場を去って行った。
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