《第1話》ペオル山の主神

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《勇者》エノク E レベル70 体力6735 魔力450 攻撃力583 防御力602 素早さ776 ひとのいい勇者アロンの紹介の勇者エノク。流石勇者という貫禄の数値で 攻撃力は見劣りはするもののバランスの取れた万能型。 レベルだけとれば先程のナンバーワン勇者アロンのレベル48をゆうにしのいでいる。 「おぉ!流石勇者様。」 装備がなんだか軽装に見えるのと 武器が見当たらないが それはきっと"格闘家"かなにかをやられているのだろう。 しかし、何にしてもお金のない自分たちはギルドでは依頼する事すら出来ない。 そんな二人の周りをエノクは顎に手をあてながら観察するようにぐるりと回る。 「あの、、、私達お金がなくて、、、依頼」 そう弱気に話していると、一通り観察を終えたエノクは口を開く。 「ボロボロだな。」 「え?」 自分達の事を言われると思わず呆気に取られていると エノクはパンを2つ手に取り二人に手渡した。 「え!?」 微笑む程度の笑顔で口数が少ない割に しかしそこには優しさが大いに伝わる。 「食べな。腹減ってるんだろ。」 久しぶりの人の優しさ。 久しぶりのまともな食事。 「ありがとうございます!!!」 二人は涙を流しながら貪るようにパンを口に運んだ。 すると、周りが小声で何やら話しているのが聞こえる。 「プププププ、、、」 「可哀想になぁ。」 明らかに馬鹿にしている感じの視線は 刺さるように伝わってくる。 自分たちがこんな身なりだから、、、 お金がないのを分かってるから、、、 二人は惨めになりさらに涙が流れそうになる。 そうだ。そんな自分たちの依頼を受ける事 自体可哀想なんだ。 だって慈善じゃないんだから。 みんなご飯を食べている。 このパンだって依頼のお金で、、、。 そう思うと食べたかったパンすらも喉を通らない。 エノクは両手でそんな二人の頭を撫でるように髪の毛をワシャワシャすると 「食え。じゃないと帰る道のりが大変だ  ぞ。」 と、笑顔で話してやる。 周りの笑いは止まないが二人は嬉しくて 気にすることなくおかわりまで頂いた。 「さぁ行くか。」 エノクはそう言うと 「エノク!今日も頑張ってこいよ。」 笑いも含まれた馬鹿にしたようなエールを受けながら 二人を連れ、装備の置いてある部屋へ向かった。 そこにも銀貨1000やら立派な装備が並ぶが エノクはその端に無造作に置かれている 銀貨0の少し壊れたような所を漁る。 「鉄の小手、銅の剣、木の棍棒、、、  そう言えばお前たちの村ってここから遠い  の?」 「ヘルモン村です。」 「そうか、、、なら槍も持てるな、、、」 一人でブツブツつぶやきながら 集める武器。なんだか盾や防具もあるのに やたら武器だけ集めてる気がする。 「あの〜そんなに沢山武器、、、使われるん  ですか?」 ボロボロですぐに壊れてしまうかもしれないとはいえ、ちょっと種類や量に違和感はある。 「あぁ。全部は使わないかもしれないけど  恐らく大半は使うと思う。」 そう言われれば聞いた事がある。 暗器使いは武器を投げて戦うと。 そういう戦い方なのかもしれない。 それに勇者アロンが言っていた 『ここで勇者は魔術や剣術、武道の基礎を学ぶ』と。 きっと、全ての武器に追随する技術をお持ちなのだ。 数多の武器を扱い戦う。 カッコいい。なんとも勇者らしいのだろう。 そうして、とにかくパンパンに詰めたリュックを4つ。 さらには「杖の代わりにいいだろう」と それぞれ槍や棍棒を持たされ 「さぁ出発だ。」 とさらには自分はリュックを2つ、 青年と少女にもリュックを1つずつ持たせ 村への帰路についた。
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