《第1話》ペオル山の主神

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エノクは旅路で二人に聞いていた。 村の人数は?だいたい400人位。 見張っている魔物は?せいぜい5、6人。 見張りがそれだけしかいないと言うことは おそらく山にいる魔物の数もたかが知れている。 そうして、エノクは1人ペオル山を登り、確認した。 魔物の数はおおよそ50。 「さぁ行け〜〜!!」 「奴らを追い出せ〜〜!!」 武器を持った村人達が魔物を追いやる。 村人達は時には剣を持ち 時にはグローブで格闘術を行い、 杖で魔法を使う者までいる。 それぞれがまだまだ拙い初級者のような動き。 だが、10倍近くいる人数の前に 魔物達は怯み、逃げ出していく。 「良し!行けるぞ!押し切れ!!」 村人達が一致団結して村の入口から魔物を追い出した。 その時、、、 ドスーンドスーン。 ペオル山から大きな人影が地を揺らしながらゆっくりと近づく。 「ベルフェゴール様!!」 それは豚?いや毛が生えた猪を人型にしたような巨大な魔物。 〘ペオル山の主神〙ベルフェゴール レベル68  体力7650 魔力0 攻撃力1280 防御力3800 素早さ 180 「現れたか!!」 エノクは村人が戦う一番遠い位置から その体躯を確認する。 「お前たち!人間ごときに何をしておる!」 どう見ても動きは鈍そうな巨漢だが 「そぉぉうれ!!」 持っている棍棒を振り回すと 周りにいた村人が10人ほど軽く吹き飛ばされる。 さらには、、、 「それ!」「怯むな!」 と、先程魔物を凌駕していた剣や武道で攻撃してみても 猪のような厚い脂肪を含む革で覆われた皮膚はびくともしない。 「そうなんだ。400人の軍勢がいても、まだ  強い者でもせいぜいレベル10。しかも、技  術も覚えたばかりの素人しかいない。これ  であの防御を崩すとなると、、、。」 エノクは周りの村人の一人ひとり、 そして、ベルフェゴールをしっかり見据え 村で一際大きい村長の屋敷の門の上であぐらをかき考える。 すると、村長の家に彫られたグリフォンの彫刻を見て、思いつく。  「これだ!!」 「そぉぉうれ!!」 ベルフェゴールが村人を吹き飛ばす。 動きは遅いが攻撃力1280の威力は 一撃で村人を戦闘不能にする。 「くそっ!」 すでにベルフェゴールだけで40人はやられている。 この威力、そして、効かない攻撃に 村人達は押されていた。 「はい!バックオーライ!バックオーラ  イ!」 押されている村人をさらに逃がすように 後退を促しにやってきたのはエノク。 すると、ドシーンドシーンと ベルフェゴールは村に入りこむ。 しかもその巨躯はガシャーンと 民家にぶつかり破壊をする。 「駄目だ!このままでは村が破壊されてしま  う!なんとか奴を村の外に、、、」 そう、戦う意志が芽生えた村人が負けじと挑もうとするも それを制止するように前に立ち お尻ペンペンをしてベルフェゴールを挑発するエノク。 「なんだ!?お前は!?そぉぉうれ!!」 そんなベルフェゴールの攻撃をエノクはヒラリと躱すが ドゴーーン と民家はさらに破壊される。 「こらぁ!挑発するな!!」 その頃、村の外れ。 「あらあら始まっちゃった?」 依頼を終えたアロンが駆けつけ 遠くに建物より高くはみ出る ベルフェゴールの巨躯を見つける。 そこへ 一際多く魔物を撃破しボロボロの身体のダビデがやってくる。 「あ〜君は確かギルドに来てくれた。その姿  は君も戦ったんだね。」 「ええ。この村はあの勇者のせいでめちゃく  ちゃですよ。あなたに来て貰いたかっ  た。」 その言葉にアロンは笑顔で嬉しそうに話した。 「え〜ホント〜?嬉しいな〜。でもね。君  戦えるようになったでしょ?僕にはそれは    出来ないから。」 「え?どういう事ですか?俺はアイツに武器  を持たされて無理矢理、、、」 「そうだよね〜。気付かないよね。まぁ説明  するよりも見て貰った方が早いから。さぁ  早く!行ってみよ。」 エノクが村人の杖を持つ魔法使い見習いに 耳打ちする。 「アイツの弱点は教えた炎の魔法だよ。」 「マジですか!?」 そうして、習いたての炎魔法を唱える。 "ヤハ"!! 「おお〜っと。」 壊れた瓦礫を手に取りその炎を移すとエノクはそれを種火に壊れた民家に止めをさすように火を着けた。 「おぉぉぉい!家を燃やすなぁぁ!」
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