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ぎゃぁぉぉぁお!!!!
今までに目に見えていなかった正体が目の前に悍ましい声とともに現れる
はっきりと姿を現したそれは、銀色の巨大なネズミのような姿をしていて、その口元は大きく耳元まで、裂けている
その口は次に大きく開かれ鋭い牙が、光る
同時に姿を現す僕を拘束していた力の四つの正体も、瞳に映るそれは、イタチにも似ていた
ゴーっ!!!!!
覚悟を決めた瞬間、凄まじい音が寮のドア越し廊下に響き渡る
同時に今にも僕を食らいつこうとしたその、巨大なネズミと小さなイタチ達は一斉に音の方向に振り向く
『あの音は、竜巻?‥‥そしてこの匂いは、…なぜあいつらが動く?‥』
『この妖術方法は、、鎌鼬一族のものです親分!!』
食べられると、覚悟を決めていた僕だが、目を見開くとすぐに感じ取るこのネズミとイタチの、急な焦りの様子
先ほどの威勢は一気に弱まりをみせる
あれ?なんだろう 今なら振り切れる
それにこいつらは‥‥
弱い…。
あれ?何この,変な感じ
寮窓から見える夜空はいよいよ朝の光に全てかわろうとしていた。
あまりにも敵が慌てていたんだろうすぐにすり抜けることができそれにネズミは気づかない、いち早く気づいたのは、先にイタチ達のほうで、一斉に僕に襲い掛かろうとした時
僕の身体はそれを許さなかった
指先に突然まとわりつく風の気配に戸惑う暇もなくそれは勝手に動く
流れるように右から左へと動かされる手のひら
その指先に風の渦は、勢いよく飛び出し鞭のように次々にイタチ達の口を塞ぎ込み絡めとる
一瞬の出来事だった
そのままその風は糸のようにイタチ達を、がんじがらめに縛りつけ床に張り付かせる
なに?これ…
『‥おま、えは、もしかして、あの、ひす、い‥‥』
え?
苦し紛れに一匹のイタチが口元の、風がズレたのか絞り出す
「ひす、い?…」
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