恐怖の食卓

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円井満男(まるいみつお)は単身赴任。 週末、久しぶりに家に帰ってくつろいでいた。 「あなた、今晩すき焼よ」 「おっ、いいね。子供たちも喜ぶな」 「あなた頑張ってるからたまには贅沢しないとね」 「あぁ、久しぶりの家族団らん、楽しみだ」 「陽葵(ひまり)~。陽翔(はると)~。ご飯よ~」 「うわ~。スキヤキだぁ」 「ママァ、おいしそう。パパ、おしごといそがしい?」 「あぁ。でもこうしてお前たちの顔見るとがんばれる」 「さあ、みんな卵割ったかな。準備いいかな~」 「は~い」 「うん」 「じゃぁ、皆一緒に...いっただきま~す」 「あれっ、おとうさん。うしろのかべになにかいる」 「えっ、何だ?」 「わっ、ゴキブリ。おっきい!」 「あっ、パパとんだ!」 「キャ~~」 「うあっ、うわっ、うわっ」 「おっ、お~、おぅ~」 「あっ! こっち来るわ!」 「あ~っ、ママ。たまごのおわんにはいっちゃった」 「おとうさん、およいでる」 「キャ~! でてきたぁ!」 「うわ~! にげた」 「あなた、あっち!あそこよ」 「えっ、どこ?」 「ほら、あそこの壁際。卵がからんでひっくり返ってるわ」 「おおっ、ヌルヌルてかってる」 「あなた、新聞紙、新聞紙」 「うっうん」 「よしっ!今だ!」 「わっ、逃げた!」 「キャッ、キャッ、キャァ~」 「うあっ、うわっ、うわぁ~」 「おぅ~、おっ~、お~」 「あなた!何やってるの!早くたたいてっ!」 「バンッ!」 「ビシッ!」 「バシッ!」 「ダメだ。あたらない」 「どこいった?」 「あ~、ママのあたまにくっついた!」 「ひぃぃ~」 「あなた、はらって!」 「あっ。にげた。パパのうしろ!」 「おとうさんのポロシャツのなかにはいっちゃた」 「うぉ、うぉぉ、うごぉいてる」 「あなた、早くシャツ脱いで。新聞紙貸して」 「あらっ、いないわ」   「ひゃぁ〜、腿の裏ぁ〜」 「あなた、ズボンも脱いで」 「えっ、いない。どこ?」 「・・・」 「あなた、トランクスじゃま」 「えっ⁈」 「あ・な・た‼」 「あっ、おとうさん。おしりのわれめにひげみえた」 「きゃ~、パパ、またのあいだよ。もうっ、さいてぇ!」 「あなた、動かないで!」 「さっ、いくわよ!」 「バッシッ~~ン」 「うっ、おぉぉぉ~」 「あっ、またにげた!」 「うあっ、こっちくる!」 「うわぁぁっ」 「きゃぁっ~」
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