限界

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限界

ダミアンはミラーゼとデートをしながら、ファスティールとも会っていた ミラーゼはもう限界だった 毎日のように、ミラーゼとしてファスティールとしてダミアンに会うのだから 2人を交互に誘ってくる事が理解出来ない ダミアンが気持ち悪いとしか思えない 一緒にいるのも嫌だった ダミアンはファスティールと会う日は、ミラーゼに花束を贈ってくる 少しは後めたいのだろうか それとも、会えないことを誤魔化すつもりなのだろうか ダミアンからの贈り物もみているだけで、不快になる 今更、取り繕ってなにになるのだろう その行動一つ一つに不信感だけが募っていく 「ミラーゼ、今日は一緒に食事でもどう?」 また誘ってきた 「はい」 一緒に馬車に乗って行く 微笑みながら、色々話しかけてくるダミアンの声はミラーゼには届かない 完全に心を閉ざしてしまった 楽しいはずの食事も苦痛でしかなかった あんなに好きだったはずのダミアンに、今は何の感情も無くなっていた 早く帰りたい そればかりが浮かんでくる もう離れよう ファスティールとしても、次に会うのを最後にしよう もうどうでもいい ダミアンが誰と一緒に居ようとも 復讐も そんな事より、ミラーゼは逃げ出したかった ダミアンの気持ちを確かめる為に聞いてみた 「ダミアン、今度街に買い物に付き合って欲しいの。」 敢えて、ファスティールと会う日を言ってみた 『私を選んでくれるなら』ミラーゼは最後の賭けにでた 「ごめん。その日は予定が入ってるんだ。違う日ではダメかな」 「そうなの…。では兄様と行きます」 「ごめんね。次は必ず一緒に行くから」 『やっぱり』ミラーゼは確信した ダミアンは私より、他のたくさんの女性を愛しているんだと どうでもいいと思っていたが、現実を突き付けられると心が痛んだ まだ気持ちが残っていた その日、一晩中泣いていた 今まで積み上げてきた日々は、確実にミラーゼの心を壊していった
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