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廃嫡
ミラーゼともファスティールとも会えなくなってしまって落ち込んでいるダミアンに、更なる悲劇がおとずれる
その日の朝、リカライン公爵家に一通の手紙が届いた
それを見た公爵は怒りで震えだした
「何をしているんだ、ダミアンは」
ファンカルゴ公爵から、ダミアンの不貞による、婚約破棄を希望する旨の手紙だった
そして添えられた数々の不貞の証拠に
そこへ、追い打ちをかけるようにトンガン男爵が令嬢を、連れてやって来た
令嬢がダミアンの子を身籠ったと言い出した
とりあえず、ダミアンに話を聞く為一旦お引き取り願った
リカライン公爵は、ダミアンを呼び出した
「今日、トンガン男爵から令嬢がダミアンの子供を身籠ったと連絡してきた。どう言う事だ?ミラーゼという、婚約者がいる身で」
「えっ?」
ダミアンは驚いた
「どうなんだ?」
リカライン公爵は苛立ちを隠せない
「いえ、そのようなことは…」
段々と声が小さくなるダミアン
「男爵令嬢とは関係ないんだな」
「えっと、それは…」
「はっきりしないか。まさかミラーゼという婚約者がいながら、不貞をしたのではないだろうな」
「…」
「どうなんだ、はっきりしないか」
ダミアンは真っ青になり、言葉を失った
公爵夫人も
「ミラーゼを泣かすようなことは無いわよね、ダミアン」
「…」
「まさか、身に覚えがあるのか?」
「…」
「黙っていたらわからないだろう。ミラーゼを愛しているから婚約したいと言い出したのはお前だろう。それなのに、こんなかたちで裏切るとは…。どうしたら、他の令嬢とそんな関係になるんだ?ミラーゼを傷つけてなんになるんだ」
「嘘よね、ダミアン…」
公爵夫人は泣き出した
「僕はミラーゼを愛しています。ミラーゼと結婚します」
ダミアンは言った
「こんな騒ぎを起こして何を言っているんだ。よくもそんな事が言えるな。愛しているのに、不貞をはたらいて、挙句ミラーゼと結婚するだと?ミラーゼのような優しい子を裏切るとは。しかも男爵令嬢は、男遊びがひどく、金遣いも荒いと有名な令嬢ではないか。お前は何をやっているんだ。そんな悪名高い令嬢を次期公爵夫人にさせられる訳が無いだろう。勿論、公爵家に迎え入れる気も無い。我が公爵家を地に落とす気なのか?」
怒りで公爵は震えていた
「これが事実であれば、ダミアンお前は廃嫡とする。次期公爵としての行動とは思えない。全てに不誠実すぎる。それぐらいしないとミラーゼにも、ファンカルゴ公爵家にも詫びにならない。そして公爵家の存続もない。お前のような後継者はいらない」
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