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再会
ダミアンが王都に戻って、令嬢達への謝罪も終わった頃、街を通っていた馬車からファスティールを見つけた
ダミアンは慌てて、馬車を止めて降りた
「ファスティール」
呼んだが気が付いてないようで、振り向くことはない
ダミアンは走り出した
「待って、ファスティール」
手を引くとびっくりしたように振り向いた
「ファスティール、あの日以来どうしていたんだ?体調でも崩していたのか?会ってきみに謝罪したかったんだ」
ダミアンが言うと
「‥」
何も答えず困った顔で微笑むだけだった
「どうして何も言ってくれない?僕だよ。ダミアン」
ファスティールの反応はない
「ずっと心配していたんだ」
その顔をまじまじと見つめて、ダミアンは気が付いた
「えっ?ミラーゼ?」
「…」
「ファスティールはミラーゼなのか…?」
「…」
何も答えない
そして、礼をすると走り出した
「待ってくれ、少しでいい話がしたい。ミラーゼ」
ダミアンが呼ぶ声はミラーゼには届かない
『まさか、ミラーゼだったなんて。僕は何をしていたのだろう。ミラーゼは僕の行動をみて失望したんだ。他の女性ともそうやって交際をしていたと勘違いをさせてしまった』
婚約者だと気が付かずに嘘をついて、交際を申し込んだ
ミラーゼが僕を嫌うのも無理はない
ダミアンはその場に崩れ落ちた
もうどうしようもない
「終わった…」
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