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黒い百合と鬼灯の少女
どうして、この世界はこんなにも残酷なのでしょう。
私には親友の子がいて
その子には恋人がいました。
そして私はその恋人を好きになってしまったのです。
私はきっとこの想いを告げることもできず、その想いをただ一人、眺めるのでしょう。
私は彼が好きだけれど、あなたも大好きだから。
彼に想いを伝えれば、優しいあなたはきっと傷つくでしょうから。
だから私はこの想いを捨てることもできず、燻らせていくのでしょう。
けれど、ああ、なぜあなたは、そんなにも辛そうなのですか。
彼の屈託のない笑顔を向けられるというのに。
彼を他の誰よりも近くで感じられるというのに。
彼の隣に立ち、寄り添うことができるというのに。
どうして、今にも泣きそうな顔をするのですか。
もし、彼を好きでないのなら、どうして彼の想いに答えたのですか。
なんであなたが私の親友なの。
あなたのことが大好きだけど、あなたへの憎悪が湧き出て仕方ないのです。
それと同じくらい、私は私のことが嫌いになって、苦しくて息ができないのです。
あなたとの、かけがえのない思い出が、水面にインクが滴り落ちるように憎悪に塗りかえられていくのが辛くて辛くて堪らないのです。
だからあなたへ呪いを贈ります。
私の心に燻る恋心を砕くための。
あなたと私が不幸にならないための。
醜い私があなたを傷つけないための。
最初で最後の呪い。
「あなたのことがずっと大嫌いでした」
さようなら。私の親友だった人。
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