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オダマキの少年
幼い頃から君が好きだった。
君はクラスの人気者で、対して僕は君の幼馴染というだけの大勢の内の一人にすぎなくて。だから、君に好かれるよう、君に見てもらえるよに努力をした。
そして、生きていく中で君と多くの時間を過ごし
なけなしの勇気を振り絞って放課後、誰もいなくない教室で想いを伝えた。
桜、舞い散る教室の中で
君は最初に驚いた顔をして
次に泣きそうな顔をして
そして、顔を伏せて
最後に涙を零し、笑って
「私も君が好きだよ」と言った。
君が嘘を言っているのはすぐに分かった。
君のことは誰よりも知っているから。
別に、確証がある訳でもない。小説や漫画のように嘘をつく時の変化が分かるわけでもなかった。
ただの直感だけど。
君は嘘を言っているとすぐに分かったよ。
けれど僕は君の優しさに甘えた。
恋人という関係を捨てたくなかったんだ。
それはきっと僕が傷つきたくなかっただけで。
ただ、この燻る想いが報われたかっただけのエゴで。
そんな僕はいつか僕のことを好きにさせてみせると傲慢に思ってしまった。
君の目に僕じゃない誰かがいても
僕は君のことが大好きだよ。
いつか君が僕の反対側にいる大切な人に想いを告げて、その気持ちが報われるのならば、それでもいい。
だから、せめて、その時までは
君の隣に立つことを許してくれないだろうか。
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