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The Truth
大昔のことだ。
まだ国がムラであった時のことだった。
その年は天災があった。
地が割れるような揺れに襲われたり、
家が壊れそうな嵐に見舞われたりした。
そうでなくても、雨が数日おきにしか降らず、
降ったとしても雷雨だった。
人々は考えた。
これは人為的な魔術によるものではないのかと。
飢えと渇きに苛まれながらも、人々はムラで一番強い若者を送り出した。
それが、後に初代皇帝となるルーエヘーデン・エマトルトである。
ルーエヘーデンは見るもの全てが美しく感じた。
十七年もの月日をムラから出たことがなかった彼は外を知らなかった。
「なんときれいなんだ……」
咲き誇る花々、川のせせらぎ、鳥のさえずり。
豊かな果実、温かい木漏れ日、静かな虫の音。
ムラから離れるにつれて、気候が落ち着いていた。
ルーエヘーデンは誘われるがままに現皇国の東の大森林へ向かった。
ルーエヘーデンは自然を感じていた。
美しさも儚さも脆さも、全てを。
もちろん、ムラを襲う恐ろしさや怖さも知っていたが、大森林は全く違った。
目に映るものが、頭では理解できないほど壮大で神秘的なのだ。
そんな大森林で彼は数ヶ月を過ごした。
毎日動物たちと戯れ、食の恵みに感謝し、自然の循環を感じ取っていた。
自らのためになくす命もあれば、かわいがる命もあった。
そんな日々の中、来てしまったのだ。
冬が
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