The Truth

2/9
前へ
/15ページ
次へ
大森林の冬は厳しかった。 動物たちは消え、太陽も早く沈んでしまう。 川の水は凍る日もある。 もちろん、木の実は少ない。 だが、これらがルーエヘーデンを苦しめた最大の原因ではないのである。 一番の理由は、その"寒さ"だった。 毛皮を何枚も羽織るが、肌にひりつく冷たさがどこかにある。 ブルブルと震える中、瞼が閉じそうになるが、なんとか堪えていた。 が、一人でそんなことを続けられるわけもなく。 ついには瞼は閉じてしまった。吹雪の荒れる夜だった。 ルーエヘーデンは早速、死の淵に立たされようとしていた。 「大丈夫ですか?」 ルーエヘーデンは驚いた。 昨晩は洞窟にいたのに、暖炉が灯る家の中にいるのだから。 久しぶりにベッドで寝たおかげか、疲れもなかった。 「私はルナと申します。ご機嫌が悪かったら、すぐに申しつけくださいま。」 全身が黒い彼女をルーエヘーデンは見つめた。 彼は知ってしまった。 この大森林の自然よりも美しいものがあることを。 黒の中に一際目立つ白い肌。 しなやかな動きに、豊満な体型をしている。 特にすみれ色の瞳が、胸の高鳴りを増幅させた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加