愛を知った魔女は

The Witch

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エマトルト皇国には魔女が住んでいます。

とても、とーても、恐ろしい魔女が住んでいます。

その魔女は大昔、この国に厄災をもたらしました。

何日間も雨が降らず日照りの日々が続いたり、逆に、雷雨で風が吹き荒れる日があったり。農作物はよく育たず、森も海も荒れ、人々は困りました。

そこで、魔女を止めたのが、初代皇帝ルーエヘーデン・エマトルト様です。剣の名手で優しい心を持つルーエヘーデン閣下は人々のために立ち上がりました。

ルーエヘーデン閣下は魔女の元へ行き、堂々と決闘をしました。

魔女は強大な力で息の根を止めようとしましたが、皇帝はそれをも凌ぐ力で魔女を追い詰めました。

皇帝は慈悲をかけました。
魔女に東の大森林で大人しく暮らせと。

それに対して、魔女は二度と国を襲わないと誓いました。

そして、今でも、永遠を生きる魔女は東の大森林で暮らしているのです。

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魔女は教師の音読を不服そうに聞いていた。
それは本当は違うのに。
それは本当はウソなのに。

魔女は思う。
『あなたが作ったこの国は、真実を知りませんよ』と。
青い空を見上げ、この意を伝えようとした。
が、天を仰いでも何もなく、魔女は悲しそうに下を向いた。

一羽のカラスが教室の近くの木から飛び去っていった。