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CASE2
ある日、私の足首にグレーのリングのようなものが付いていた。
とくに気にすることもなくいつもの日常を送っていると、日に日にそのリングは濃さを増し、グルーだった色は6日後には真っ黒になっていた。
痣だと思いそのうち消えるだろうと気にしていなかったが、流石に気になり周りに聞いてみるが、何故かこのリングは自分にしか見えていないことを知る。
「何なのよこれ……」
お風呂に入りゴシゴシと擦ってみるが、全く落ちる気配はない。
結局今日もリングを残したままお風呂から出ると、ベッドへと座り足首を見る。
最初より明らかに濃くなっているのが一目でわかる。
これ以上考えても答えなど出るはずもなく、私は枕に顔を埋めるといつの間にか眠りへとついてしまう。
「んッ……」
目を覚まし時計を見ると、PM11時59分。
明かりがつけっぱなしだったため消そうと立ち上がろうとしたとき、足首が見え首を傾げる。
「薄くなってる」
眠る前までは濃かったリングの色はかなり薄くなっており、消えかかっていることに気づく。
一体これは何なのだろうかと、そのリングにそっと触れると、頭の中で声が聞こえた。
〝契約を結んだぞ〟
その瞬間寒気を感じ、部屋の中をキョロキョロと見回すが誰もいない。
気のせいだったのだろうかと思い明かりを消すと、再び眠りへとつく。
それから1時間後。
まだ夏だというのに何故か寒気を感じ目を覚ますと、ベランダのカーテンがヒラヒラと揺れていることに気づき、開いていた扉を閉める。
「さっき開いてたっけ」
不思議に思いながら鍵をかけ振り返ると、天井からぶら下がる黒い翼を付けた少年が目の前に現れた。
声にならない声を上げると、その少年は床へと足をつけニヤリと口角を上げる。
「人間のその顔、何度見てもいいね」
「あ、貴方は誰なんですか?」
「僕?」
そう言い更に口角を吊り上げると、彼の口がゆっくりと開かれた。
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