土方さんちの美味しいご飯

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その後、でかい布の塊(男曰く「そふぁー」と言うらしい)に座らされる俺。 男は俺に茶を差し出し、目の前に座りながらこう話しかけてきた。 「えぇと……あなたは土方歳三さん、だよね?」 「おう。如何にも、俺が土方歳三だ」 「ああ、やっぱり……。で、あれば……土方さん?何であなたがこの時代のこの場所にいるのかは、私にもさっぱり分からないのだけど。一応此処は、貴方が生きていた時代より遥か先の未来……2024年の世界なんだよ」 「はぁ……?」 目の前の男が何を言っているのか、全く分からない。 (というかこいつ……俺を騙して新政府軍に抱き込もうとしている間諜(かんちょう)か?) 俺は男の挙動や台詞に怪しさを覚え、再度腰の刀に手をかけた。 そんな俺の姿を見て、大いに慌てる男。 彼は、 「ストップストップ!私は敵じゃないから!穏便に!平和に行こう!平和に!ね?!」 というや、脚の長い座卓の上から何かを持って来る。 「取り敢えず、これを見てみてくれるかな?土方さん」 男が持ってきたのは、やや厚みがあり――色とりどりの写真が沢山載った本だった。 男はそれを手慣れた様子で(めく)ると、ある箇所を見せてくる。 そこには――以前撮影した俺の写真が載っていた。 他にも、五稜郭の写真や、懐かしい仲間達の写真もある。 写真の周囲には、新撰組や五稜郭での戦いについての記載もあった。 食い入る様にその文字を追っていく俺。 すると――「戦死」。 確かに、俺の写真の横にはそう記してあったのだ。 (そうか……。やはり、俺はあの時死んだのか) ならば、俺は何故、今ここにいるんだ……?
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