土方さんちの美味しいご飯

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そうして、優にしがみつかれたまま話し合うこと1時間。 俺と優は、形見や家宝を取り戻すための大体の計画を練り上げた。 「とは言え、これはあくまでも計画だ。実際、用心棒とやらがどんな武器を持ち出してくるかで対応も変わるし、お前の前の女の動き方によってこちらの出方も変わるだろうさ」 ――そう、優の元の女が素直に優の持ち物を返してくれるならば一番良い。 だが、事態はそう上手くはいかないだろう。 (まぁ、十中八九戦いにはなるだろうな……) そうなれば、前にも言っていた様に――優は自分の女を傷つけるのを嫌がるだろう。 コイツはそういう奴なのだ。 であれば、俺がどうにかやるしかない。 (でも、殺すのはナシだ) 幾ら相手は非道な輩でも、元は優が愛した女なのだ。 優の目の前でそんな女の命を断つのは、幾ら鬼と呼ばれた俺でも気が引けた。 それに、何より――。 (今回の目的はあくまで優が奪われた形見や家宝の奪還だからな) 本音で言えば叩き斬ってやりたい気持ちはあるものの、まずは家宝等の奪還が最優先だ。 それさえ手に入れば、優の女とやらはもう用無しである。 (どうにか……上手く、死人や大きな怪我人を出さずに事が運べばいいが) 多少の怪我人ならば最早仕方がない。 だが、昔俺が体験した様な命の取り合いが発生しないことを願いながら、俺は優が用意してくれた、女が住んでいる建物の地図や図面等に目を通した。
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