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そうならない為にも、俺は優に見張りを任せて床に膝をつくと――そのままべっどの下の、きいほるだあが転がっていった方向へと手を伸ばしてみた。
と、俺の伸ばした指先が何かに当たる。
きいほるだあではない……何か、もっと大きくて冷たく、固いものだ。
(なんだ……?)
不審に思い、俺は身を屈めると、床につきそうな程頭を下に下ろしてみる。
そうしてそのまま、優に借りた懐中電灯とやらで先の方を照らしてみた。
すると――。
(なんなんだ、ありゃぁ……?)
懐中電灯で照らした、俺の目線の先――そこに、黒い金属製であろう大きな箱があることに気がついた。
扉の様な部分についているのは錠前だろうか。
それに、数字が複数刻まれた――何やら回転させる取っ手の様なものもついている。
明らかに、中に何か大切な物を入れ、守っていることがわかる箱。
しかも、黒い金属らしき箱は横にかなり長く、刀一本程度なら余裕で入りそうな大きさをしていた。
(もしかして、これは……)
俺は嫌な予感と興奮を同時に感じつつ、優にそっと手招きをする。
そして、無言でべっどの下にある黒い金属の箱を指差してみせた。
勿論、上で寝ている由理恵達を起こさない様に最大限に気を使いつつ――。
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