土方さんちの美味しいご飯

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だが――。 (正直、錠はどうとでも出来る。でも、あの数字を合わせる取っ手が厄介だな) そう、最悪錠は破壊してしまえばなんとかなるが、数字を合わせなければいけない方の取っ手が俺の中では懸念材料だった。 「なぁ、優?あの女が好みそうな数字に心当たりはないのか?」 俺は目の前の優を見上げながら、そう尋ねてみる。 と、顎に手を当て暫し考え込む優。 だが、やがて彼は顔を上げると力なく首を横に振った。 「正直、心当たりなら幾つかあるんだ。でも……彼女の性格上、そんなに簡単な数字にはしないと思うんだよ」 成る程。優のいうことにも一理はある。 この由理恵という女は相当の性悪の様なので、優が簡単に思いつく様な数字は使用しないかもしれない。 なんせ、彼女は優がこの箱の中身を取り戻そうとしていることを知っているのだから。 「だから……私が全く思いもつかない様な、難しい数字かもしれない」 優はうつむき加減に、呟く様にそう言った。 優が一切数字がわからないとなると、正直、この箱から中身を取り出すのは非常に困難だ。 なんせ、俺は由理恵とは顔を合わせたことはおろか話をしたことすらないのだから。 そんな俺が、彼女が使いそうな数字を当てられる訳がない。
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