土方さんちの美味しいご飯

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「……こうつうじこ?」 意味はよく分からないが、優の顔色を見るに、きっと不慮の出来事か何かなのだろう。 すると、(おもむ)ろに口を開く優。 「……会社……私が働いていた場所でね。私は大きな成果を上げて、その報酬でお金を沢山貰ったんだ。だから、私は……今まで苦労をかけた両親に、親孝行をと思って、旅行を贈ったんだよ。でも……その旅行へ行く途中、私の両親は交通事故に巻き込まれて……」 俺の手を握ったままだった優の両手に、ぐっと力が込もる。 筋張っている、大きな優の両手。 その両手は――まるで、彼の心の動揺を映し出しているかの様に、小さく震えていた。 「……偶然現場を見ていた人がね、教えてくれたんだよ。私の両親は……最後まで私の名前を呼んで……苦しんで苦しんで亡くなったらしい。両親の車は前も後ろも他の車に挟まれていたらしくてね。燃え盛る車内から……私の大切な人達は逃げ出すことすら出来ず、生きたまま焼かれて亡くなったんだ……」 絞り出す様に告げる優の声が震えている。 「……私のせいだ。私が旅行なんて贈らなければ……。だから、私も……昔から大好きだった貴方の遺品の手入れが終わったら、両親の元へ逝こうと思っていたんだよ」 そう語る優の笑顔はあまりに儚くて――。 でも、その瞳の中に、俺は以前仲間達に見たのと同じ――死へと自ら向かう者特有の意志の火を見た。
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