黒胡椒と夕立ち

黒ウサギの思い出

幼い頃、ボクが生まれた実家には、黒ウサギがいた。名前は『クロ』。黒ウサギのクロちゃん。どうして、黒ウサギだったのかって聞かれると、‥‥‥そんな事は、ボクの方が聞きたいかも？それに、クロちゃん自身、何故に黒ウサギとして生を受けたのかすら知らない事だと思う。

‥‥‥ボクね。

幼い頃は、町一番のいじめられっ子だったんだよネ。毎日の様に、お家のお外へ出て行く度にイジメられて、泣きべそを掻きながら逃げ帰って来る、大人しい女の子の様な性格のえっと、でも、見た目は男の子。ボクを見る度にイジメようとする近所の悪ガキは腐る程にいたにせよ、お友達だなんて相手はひとりもいてくれやしなかった、と思う。

‥‥‥そんなボクは、独りぼっちだった。

だから、幼い頃にいたオバアちゃんが、そんなボクを不憫に思い、近所の野山で傷付いて弱っていたクロちゃんを拾って来てくれたんだと思う。