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泊めると言ったけど、俺の住まいは、あの店の2階。
本当に、人が1人住むだけのスペースしかない。
どうしたもんだろう…。
俺は一旦、下の店に降りて、スマホを開けてヤスの名前をタップする。
「どしたー?」
「助けて」
事情を掻い摘んで、説明すると。
「待ってろチェリーククル!バナナンヤスに任せとけっ!」
・・・こいつ、1度、はっ倒していいかな?
俺だって、女と付き合った事が、無いわけじゃない。
高校1年の時、初めて彼女ができた。
学校で1、2を争うって言われてた女子、上品に笑う、笑顔の綺麗な女子だった。
初めて話したのは、俺の描いた絵が、学校で張り出されたのがきっかけ、話し掛けてきたのは、彼女の方からで。
『綺麗な人…こんな風に、描いてもらったら嬉しいだろうね』
その絵は、記憶を辿って描いた女性、俺の絵を、初めて褒めてくれた女性を、水彩画にしたものだった。
それから彼女”カホ”は、俺に良く話掛けてくるようになり、告白された。
俺は、まだカホの事を良く知らないから、と断ったが、カホは付き合ってから知ってくれればいい、と半ば諭されるように、俺達は付き合い始めた。
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