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「ねー、ククルンは、無いのー?」
「ククル?あるぞー」
「おいっ、ヤスっ!」
「絵と私、どっちが好きっ!て振られたんだよな」
俺の静止も虚しく、ヤスは俺の、高校時代の僅か3ヶ月の交際を、それはそれは、いとも簡単にレンカに話した。
「えー、レンはククルンが、絵を描いてるとこなら、何時間でも見てられるけどなー」
「「え?」」
「だって、いつも無表情なのに、絵を描いてるククルンって、色んな表情すんのっ!まるで絵と会話してるみたいで、見てて楽しい」
「マジか、照れんなぁ~」
「お前が照れて、どうすんだよ」
まさかレンカに、”アイツ”と同じ事を言われるとは、思ってなかった。
俺が初めて、自分から好きになった女。
そして、たぶんアイツも俺の事を…。
いまさら、こんな事を思い出しても、意味がない。
俺とアイツの線は交わらない、交わっちゃいけない。
それでも、俺は…。
いつまで経っても色褪せない、想いを引きずっている。
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