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ママは平然とした顔で。
「本人には確かめてないけどさ、セレブ御用達の有名ジュエリーブランドの、オーダーデザイン手がけてるはずよ」
「は?ククルンが?」
「周防 玖々琉でしょ?彼」
「うん」
「なら間違いないわよ、ママが大好きだったハリウッドスターが婚約指輪作った時、デザイナーの名前が雑誌に、ちっさく出てたもん」
ちっさく、って…。
でも、凄い!うんっ、ククルンなら有り得るよ。
だって、スケッチブックに描かれてるデザインとか、どれも全部素敵だもん。
けど、それと同時に、少しククルンが遠い人のように思えてきてしまった。
私みたいな人間が、気安く近寄っていい人じゃないような…そんな感じに思えて寂しく感じる。
「まっ、そういう事だからレンカは返してもらうわよ。クルンクルンんとこがダメなら、ソウゴんとこもダメって話。分かった?」
えーっと、ククルンの本名分かってるのに、クルンクルンって、おかしくない?
ソウちゃんはママに返す言葉が無くなったのか、黙って私とママを見送ってくれた。
そのままママと家に帰るもんだと思ったら、ママのヒモさんが車で待っていて「道案内よろしくね」と、ミラー越しに言ってきた。
ママの方を見ると。
「居たい場所に居なさい。制服は家だから卒業式の前日には、1度帰ってきてね」
ウィンクしながら、私の背中を押してくれた。
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