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ラッピング…そういう事は俺にはセンスが無い、たぶん。
「教えてあげようか?」「私、上手だよー!」などと、子供達が勝手に盛り上げっている。
次第に子供達の母親達まで集まってきて、「レンちゃんには、この包装紙がいい」とか「リボンも必要じゃない?」と、店に無い物を家まで取りに行ってくれる人までいた。
「こんな素敵な作品が作れるのに、ラッピングが下手って萌えるわね」
「もえ?、え?」
「こっちの話~、ほらっ手ぇ動かす!」
「はい」
スパルタ指導のおかげで、ただの箱がプレゼントらしくなった。
「明日、みんなでレンちゃんに会いにくるわねー」みんなが笑顔で手を振って、店を出て行き俺は店じまいを始めた。
レンカは、来ないかもしれない。
お母さんのカレシがキケンな人というのは、レンカの勘違いだった。
しかもカレシは”ヒモ”ではなく、フリーのライターさんで、ほぼ家の中で仕事をしていて、時々外出するのはギャンブルでは無く、取材。
レンカの胸元に目をやってしまってたのは、レンカと仲良くなりたかったけど、目を見て話すのが恥ずかしくて、目線が自然と下がってしまっただけで、やましい気持ちは一切無かったらしい。
制服をレンカの家に持って行った日、お母さんのカレシと、少しだけ2人で話す機会があり。
「ミユキさんに結婚を申込もうと思ってて、だからレンカちゃんとも仲良くなりたかったんだけど、怖がらせてたなんて…」と、少しショックを受けながらも、反省していた。
きっと、この件も今日、お母さんからレンカに話をしただろう。
だからレンカが、家を出る理由がなくなる。
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