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「魔道具に関する技術は、今の時代、そこかしこで見かける物ですから。――このカバンに関してはやや技術力を要しますが。例えば、簡単な物でしたら、調理台の火を灯したり、部屋の明かりを点けたり、洗い物、洗濯、芝刈り、室内の温度の管理――あらゆるところでこのような技術は使われております」
「では、もしかして、このお屋敷にも?」
リースリット嬢が目を輝かして尋ねる。
それに、私のみならず、壁に控えているメイドも、深く頷いた。
今や、この屋敷の部屋を灯す明かりは、燭台のロウソクではない。
燭台のロウソクを象り、景観はそのままに、実際に点いている明かりは魔法具によるものだった。
スイッチのオンオフのみで点く優れものだ。
こういったものは、ある程度の稼ぎの在る一般家庭にも普及している。
無論、利便性や、性能の良し悪しで値段はピンキリだが。
つまり、これほど大きなお屋敷ならば。
抱えている魔道具の質は高いだろうし。数も多いはずだ。
となれば、いずれ魔道具も限界を迎えたり、故障したりもすることを考えると、メイドだけでどうにかなるものではない。
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