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練習の様子。
気の流れ。
――見ていても解る。
これは、まるで川魚を手づかみするような状態だ。
三つの要素を合成しなくてはならない三気合成だが。
現象核の誘引だけを考えればよかった時と違い、魔素と現象核の双方を同時に引き寄せるというのは、二兎を追う物は一兎も得ず、という状況になりがちになってしまう。
勝手に魔素や現象核に好かれる体質ならまだしも。
その点お嬢様はいたって普通なのだ。
だからもう、頑張るしかない。
既にできうるアドバイスは全てしている。
あと私にできることは見守ること。
だが、出来る限りのサポートは全力でしよう。
「お嬢様、これを……」
合成の練習を繰り返し、リース様の心身が共に疲弊してきた所で、私はいくつか小瓶を差し出した。
「これは、なんですの? 先生?」
息も上がり、元気も魔気も尽きかけて、見た目にも疲労困憊のお嬢様に、これを差し上げるのは酷かもしれないが。
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