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「これは予想ですが、このお屋敷にも定期的に魔導技師や、それに近い作業者がやってくるのではありませんか? それも複数人」
「そうなのですか?」
リースリット嬢がメイドを見る。
「はい。お得意先の魔導技研工業に、定期的に魔道具の点検とメンテナンスをお願いしております」
「そうでしたの。わたくし、何も知りませんでしたわ」
メイドの言葉を聞いて、困ったような、消沈したようなリースリット嬢。
その眼の前の席に、私は座って。
「大丈夫です。どのような者でも、最初は皆、何も知らない所から始めるのですから――」
テーブルに積まれた魔術書の一冊を取り、差し出して。
「――さぁ、授業を始めますよ」
「はい、先生」
その魔術書のタイトルは。
『バカでも解る、魔法学と基本技術』
「せ、せんせい……もっとマシなタイトルの本は無かったんですの!?」
――図説が沢山載っていて。
それが一番わかりやすいのです。
私はニコリと笑顔を向けて。
「さ、ページをめくってください、5ページから」
「は、はいぃ」
そうして、魔法の勉強が始まります。
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