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「それでもかまいませんよ。その場合は、今日の特訓は切り上げてまた明日にした方が良いですね」
リース様はだいぶ迷われた。
しかし、最終的に、『薬液』と『甘露酒』を受け取られた。
もう、試験までの期日が迫っている現状、休んではいられないと思ったからだろう。
「ううっ」
『薬液』を服用し。
その苦みに、呻きながら。
続けて『甘露酒』もグイっとあおろうかという直前。
「先生、せめてどこのか教えていただけません?」
「どこ? とは?」
「ミラ様の……」
ああ、どこから採った液かという意味ですか?
「それは……」
「あっ! やっぱりいいですわ!」
お嬢様は、私が言う前に、意を決したように一気に飲み干した。
……飲み干した後に小声で言う。
「……いったいどうやって採取されたのでしょうか――」
そうして、ふるふると首を振って、いけませんわ、と何度か呟いた。
リース様はこの後も、特訓を続けたが。
どこか気もそぞろな様子だった。
当然、全然上手くできなかった。
そして特訓の日々が過ぎ去り。
とうとう、試験の日は翌日に迫まるのだった――。
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