リースリット と 魔術基礎実習

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 今日も中庭で、リース様は懸命に練習を重ねている。  だが、このままでは間に合わない。    試験の場所は王都のニルヴァーナ魔法学園なので、いかにクラスリーの屋敷が都の端っこの区画だとしても、同じ王都なのだから急げば数時間で着く距離だ。  だから、今日一日はまだ修練に充てることができる。  回復薬を利用すれば、かなりの時間が使えるだろう。  しかし。  焦るリース様は急くあまり、いつもよりも合成の丁寧さを欠いている。  これは悪循環だ。  そして私は、なるべく生徒(リースさま)には自力で魔術の感覚を掴んで欲しいと思っている。    苦労や達成感を繰り返し味わうことが、術師の自信や誇りに繋がる。    一つ一つを着実に積み重ねて、真っ直ぐ成長する方が、きっと『魔術が好き』って、言えるようになる。  その筈だと――私は思っているから。    けど。  仕方がない。  こうなれば奥の手だ。   私はリース様、というよりも侍しているメイド――アシュリーに向けて言う。 「――すこし、静かな場所でリース様と二人きりになりたいのですが」 「え?」 「は?」  お嬢様には、ポカンとされ。  メイドには威嚇されてしまった。
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