23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
茨の巻きついた金属のアーチをくぐると、そこには色とりどりのバラが、美しく咲き誇る回廊に入る。
中央にはバラを見ながらティータイムが出来そうな真っ白な休憩場所も設けられている。
ここならば周囲を垣根に覆われているので、邪魔は入らないだろう。
私は、お嬢様の正面に立ち。
その潤んだ琥珀色の瞳を見た。
そよ風に揺れる、長く美しい黒髪。
果実のような、艶のある唇。
トレーニング用の袖の短いブラウスと、ショート丈のバルーンパンツ等。
たとえ、ラフな格好だとしても。
姿勢の良さや立ち居振る舞いから、品の良さと家柄が滲み出ている。
そんな少女に、私は1歩、歩み寄った。
「リース様……」
「せ、せんせい……!? ――!」
私は咄嗟に、リース様の背中に手をまわして支えた。
なぜかお嬢様が後ろへ下がったために、背後にあるガゼボの手すりに当たりそうになって、バランスを崩しかけたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!