リースリット と 魔術基礎実習

114/137

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
 茨の巻きついた金属のアーチをくぐると、そこには色とりどりのバラが、美しく咲き誇る回廊に入る。  中央にはバラを見ながらティータイムが出来そうな真っ白な休憩場所(ガゼボ)も設けられている。  ここならば周囲を垣根に覆われているので、邪魔は入らないだろう。    私は、お嬢様の正面に立ち。  その潤んだ琥珀色の瞳を見た。  そよ風に揺れる、長く美しい黒髪。  果実のような、艶のある唇。  トレーニング用の袖の短いブラウスと、ショート丈のバルーンパンツ等。  たとえ、ラフな格好だとしても。  姿勢の良さや立ち居振る舞いから、品の良さと家柄が滲み出ている。   そんな少女に、私は1歩、歩み寄った。 「リース様……」 「せ、せんせい……!? ――!」  私は咄嗟に、リース様の背中に手をまわして支えた。    なぜかお嬢様が後ろへ下がったために、背後にあるガゼボの手すりに当たりそうになって、バランスを崩しかけたからだ。   
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加