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その瞬間――。
「行きなさい！」
「うい」
「なっ！？」
声がして、振り向いた時には――。
ひるがえった真っ白なスカートと。
フリルだらけのインナーと。
華奢でいながらふとももは立派な脚を包む、真っ白なタイツが。
視界を埋めつくす――。
「――がッ！？」
すごい衝撃を受けて私は倒れ込んだ。
これは両足飛び蹴りだ。
ミラの。
側頭部に、硝子のような靴のヒールが突き刺さろうかという瞬間、咄嗟に魔力で壁を作って防御しようとしたが慌ててキャンセルした。
ミラは反作用や魔力の影響を全く受けないどころか、すべて相手に跳ね返してしまう。しかも増幅して。
余計なことをしたら、返ってダメージが増えてしまう。
だから私は、その攻撃をまともに浴びなければならなかった。
しかしその予想は全て杞憂だった。
ミラの『設定』はすべてオフになっていた。
恐らくミラも本気で蹴り飛ばす気は無かったらしい。
ちょっと黄泉の国に小旅行か、と覚悟を決めた時。
私の横を踵が通り過ぎていった。
代わりにふとももでカニばさみにされてそのまま倒されたのだ。
なので。
「重い……！」
というか苦しい。
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