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リースリット嬢の目の前には、開かれた魔術書がある。
そこには図解入りで、魔術を行使するために絶対に必要になる技術が少ない文字数と、バカでも解る文体で描かれている。
とはいえ、専門書に類する書物故に、専門用語ばかりになるのはどうしようもない。
だから。
「先生、ここにある三気合成とは……? なんですの?」
さっそく質問が飛んでくる。
高貴な家柄のお嬢様らしく、リースリット嬢は、しっかり読み書きを習熟しているらしく、それなりに難しい単語もちゃんと理解して読み上げることができるようだ。
私は、良い質問ですね、と応じてから――。
「――その図解のトライアングルのように、魔術の行使には、三つの要素が必要になるのです。つまり――『魔気』、『魔素』、『現象核』の三つの要素。それを合成することで、魔力としての1単位――『魔力子』が完成します」
――そう説明し、リースリット嬢の顔を伺う。
いきなりの専門用語の羅列に、唖然としてしまうかもしれない。
そう思っていたが、意外にも、そこには真剣に話を聞く生徒の姿があった。
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