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相手は本気だ。
これは躊躇している場合ではない。
私は考える。
正門付近は魔術防御が特に高い設定で、魔力の構築がかなり遅延させられる。
この状態で雑な魔術を使っても役に立たないだろう。
だから、即応性と品質の両方を伴うように――。
簡単で必要魔力の少ない得物を選定する――。
まるで突風。
そんな突撃を、横っ飛びで躱しながら。
私は紡ぐ――。
「走れ、凶刃成る言の葉よ――」
そして、急ブレーキと急旋回で、振り回される掃除用具を――。
「――『木葉短剣』!!!」
ギリギリ間に合わせた『短剣』二本、その逆手に持った左の一本と、右の順手一本による、交差させた二刀流で受け止めた。
しかし、騎馬のパワーと、速度を遠心力に変換して乗せたブラシの一撃は、凄まじい威力で。
私は、吹き飛ばされる。
さらにその横の石畳を、砕け散ったブラシのヘッドが滑っていった。
青ざめる。
なんて人だ。
「槍の扱いはド素人なのに、騎乗技術だけでこれほどとは……。兵科訓練を受けることをお勧めしたいくらいですね……!!」
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