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私達は、再びバラ園にやってきた。
ここは、比較的魔術的な警戒が薄い場所で、集中しやすい環境だからだ。
そこで向かい合い。
両者の手を取り。
目を閉じる。
――魔術における瞑想。
それは、自らの精神に向き合い、心を研ぎ澄まし、魔気を捻出するための、基本的な鍛錬法だ。
そうして高めた集中力は、この屋敷の魔術に厳しい環境の中でも、魔気を導き出すのに力を発揮してくれる。
静寂と。
そよ風と。
星のような。
あるいは、オーロラのような。
魔術の世界。
リース様は、呼吸も、鼓動も、落ち着いている。
今度はちゃんと集中できているようだ。
手の中に魔気が導き出されてくる。
私は、リース様の魔気に、自分の魔気を一時的に合成し、私の行う三気合成に随伴させる。
そうして魔力子が完成する瞬間に切り離す。
つまり、追体験というわけだ。
「あ……ッ すごい……!」
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