リースリット と 魔術基礎実習

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   合否とは関係なく、生徒となる人物のステータスを測るための試験というものがあるのだ。  この項目は、学校ごとに様々だが。  由緒正しき王立学園では、現代語学、数学、歴史等、様々な基本知識や、運動に関する試験まで、色々と実施されたようだ。  そして、それらの成績については、入学時に発表されるらしい。  試験から戻ったお嬢様は機嫌が良くなかった。 「もう! こんなに試験があるなんて、聞いておりませんでしたわ!」  机にうなだれ、脚をぷらぷらさせているリース様の、はしたない姿を、さすがにメイドも咎めない。  精魂尽き果てて疲労困憊なのは目に見えるからだ。  今ここで、小言を言おう等という無粋な真似ができる人はいないだろう。  「たいへんだったね」  代わりに、横に座るミラが、よしよししている。     たいへん、だった、か……。  「いや、本当に」  思えば感慨深い。  これは試験だけの話じゃない。  この三か月間、お嬢様は見違えた。  全く魔術を知らなかった人物が、短期間で本当に頑張った。      本当に大変だった。  その甲斐あって――。  リースリット・マルズ・クラスリーは、ニルヴァーナ王立魔法学園の試験に挑み、見事合格を果たしたのだった。
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