23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
合否とは関係なく、生徒となる人物のステータスを測るための試験というものがあるのだ。
この項目は、学校ごとに様々だが。
由緒正しき王立学園では、現代語学、数学、歴史等、様々な基本知識や、運動に関する試験まで、色々と実施されたようだ。
そして、それらの成績については、入学時に発表されるらしい。
試験から戻ったお嬢様は機嫌が良くなかった。
「もう! こんなに試験があるなんて、聞いておりませんでしたわ!」
机にうなだれ、脚をぷらぷらさせているリース様の、はしたない姿を、さすがにメイドも咎めない。
精魂尽き果てて疲労困憊なのは目に見えるからだ。
今ここで、小言を言おう等という無粋な真似ができる人はいないだろう。
「たいへんだったね」
代わりに、横に座るミラが、よしよししている。
たいへん、だった、か……。
「いや、本当に」
思えば感慨深い。
これは試験だけの話じゃない。
この三か月間、お嬢様は見違えた。
全く魔術を知らなかった人物が、短期間で本当に頑張った。
本当に大変だった。
その甲斐あって――。
リースリット・マルズ・クラスリーは、ニルヴァーナ王立魔法学園の試験に挑み、見事合格を果たしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!