23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
言わば、これは終了証のようなものだ。
私はアクセサリーを取り出した。
優れた細工に、ハートをかたどった属性結晶がハマっているペンダントで、そのハートも、中心、左縁、右縁という三つの部分に分かれている。
それぞれ組付けられている属性結晶が違い、中心部は魔素の結晶石、左縁の緑系色の石は『風』と『木』、右縁の紫系色の石は『土』と『重』の結晶となっている。
しかしそれを首にかけようかと思った時。
「……受け取りたくありませんわ……セナ先生!」
私は面食らった。
「それを貰ってしまったら、わたくしはもう生徒ではないということでしょう? もう、先生は、わたくしの先生ではなくなってしまうのですよね?」
そしてその声は濁っていた。
矢継ぎ早だった。
「先生が居なくなるということは、ミラ様も居なくなるのでしょう? また、一人で本を読むだけの毎日なんて――……! もう、嫌ですわ……」
きっとそんなことは無い筈だ。
魔術の学校に入学が決まっているのだから。
学校で、たくさんご友人が出来るはずだ。
そう、私は一瞬思ったけれど。
なぜか言葉にすることが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!