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しかし、だからと言って、私はこの屋敷にいつまでも居て良いわけでもないだろう。
出会いと別れはいつだってある。
それに私は、たくさんの人に魔術を好きになって欲しいと思っている。
ここに残ることはできない。
でも……私の一つ目の目標は叶っているのかもしれない。
「リース様は、いつだって楽しそうに私の授業を受けてくれていましたよね」
「だって楽しかったのですもの。毎日が楽しみだったんですもの。先生の授業が――わたくしは――……」
「良かった。私は、たくさんの人に『魔術』を好きになって欲しい。そのために教師になりましたから。そう言って頂けたのなら、安心です」
「先生……」
顔を上げたリース様の顔は悲しそうだった。
泣いていた。
このまま、去ることは出来そうにない。
またペリシーに追い回されそうだし。
私は、指先で、リース様の涙をぬぐう。
「――では、私のお願いを聞いてくれますか?」
「お願い……?」
リース様は、今までに心を許せる友人が居なかったらしい。
そのことは、アシュリーに聞かされている。
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