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キラリと、朝日に輝くその華美なるペンダントは、私が思った通りリース様に似合っていた。アクセサリーとしても、魔術的な装飾具としても、一級の代物だ。
そして……。
「あら、裏側に何か刻まれていますわ」
ええ。
リース様のお名前、私の名前、生徒第一号である型番、そうして、私個人の持つ、魔術師の紋章。
それらが、魔法文明時代の言語で彫られている。
「……いつか、読める様になったら解りますよ?」
「最後まで意地悪ですのね」
それは心外だ。
そう思っていると、意地悪筆頭が走り寄ってくる。
「――もうOK? 戻る?」
「そうですね」
そうして、私達はクラスリー家を後にした。
メイドたちと、リース様に見送られて――。
その最後に。
「わたくし、先生に教わった『魔術』、大好きですわ!」
そう言ってくれた、その一言は。
とても。
とても嬉しかった――。
◆ ◆ ◆ ◆
数週間ほど経ったある日。
「あっ!?」
クラスリー当主からのお礼の手紙と共に。
自宅に送られてきた小切手と明細を見て私は、絶句する。
――私が燃やした樹木の代金がしっかり引かれていた。
「――……めっちゃ引かれてる……!」
樹木一本は、結構な大金だったらしい。
今度から、人んちの木を燃やすのは控えよう、うん。
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