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「――わたくしに、出来るでしょうか?」
リースリット嬢が問う。
できないなどとは言わせないし。
必ずできるようにして見せる。
それが、私の仕事なのだから――。
私は深く頷いた。
「勿論です。私が必ずできるようにして見せます」
「先生っ!」
リースリット嬢が目を輝かせる。
そこには大きな期待と、少しの信頼がこもっているようだった。
急ぐつもりは毛頭ないが。
さしあたって、目標は1年で成果を上げることとしよう。
魔法学校は、
冬季に試験を受け、春に入学となる通常入学と、
夏季に試験を受け、秋に入学となる後期編入がある。
今は初春。
最短なら、来年の冬の試験だが。
夏でも構わない。
そう簡単に魔法は習得できないものだ。
焦って事を仕損じることもない。
じっくり感覚を磨いていこう。
私は微笑と共に、リースリット嬢に向けて、落ち着いて告げる。
「まずは、魔法に関しての基本的な知識を座学で身に着け、それから実際に修練を開始して、来期の夏、あるいは冬の入学試験には間に合うようにしましょう」
「はい。わたくし、精いっぱい頑張りますわ」
前向きなお嬢様の返事に満足していると。
そのすぐ後に。
壁際で待機しているメイドから衝撃の事実が告げられる。
「僭越ながら、アダストラ様? お嬢様は今年、入学試験を受験して頂く予定だと伺っております。 大旦那様から聞いておられないのですか?」
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