23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
時間が無い。
3か月で、全く魔法に携わったことが無いものが、三気合成を習得するなどとは、前代未聞。
恐らく、この屋敷の人間は、魔法というものの事を良く知らないのだろう。
どれだけの修練を積めばよいのか。
魔法を行使するための第一歩が、いかに難関なのか。
それが良く解っていないのだ。
でなければ、3か月などと無茶なことは言うまい。
――というわけで。
当面は、座学で基本知識の勉強をと思っていたが、予定変更だ。
私とリースリット嬢は、邸宅の広い中庭に出向いていた。
無論、メイドも傍に侍している。
つまり、座学は飛ばして、実技から始めるということだ。
そのためには――。
「良いですか、リースリット嬢。今から私が、『三気合成』を実演致しますので、よく見ていてください」
「はい、先生」
相変わらず元気で興味津々の返事が聞こえる。
昔読んだ書物に書かれていた。
――というかその書物は恐らく、教員試験の時に読んだ参考書だったと思ったが。
とにかく。
誰かにモノを教えるためには。
まずは、やって見せねばならない、と。
そう書かれていた。
だから私もそうしよう。
最初のコメントを投稿しよう!