リースリット と 魔術基礎実習

19/137

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
「すごいですわ! まるで本当の雷のようでしたわ」  目を丸くし、ぴょんぴょんと飛んだり跳ねたりで歓喜するリースリット嬢と。 「……」    粉砕され燃え上がる一本の木を見つめ、唖然とするメイドの姿。 「・・・・・・術式までとはいかなくとも、この合成の過程は、リースリット嬢に習得してもらわねばなりません」  わたくしに出来るでしょうか。  そう自信なさげにつぶやく、少女の傍で。  メイドは震えていた。  いや。  違う――。 「なんてことするんですか! あの木は、庭師が丹精込めて育てている、モモの木でしたのに! 高貴な伯爵からの贈呈品でしたのに!」 「え?」  怒り爆発のメイド嬢の言葉に。  冷や汗を垂らしながら。  私が、炎が収まりかけ、くすぶっている木に目を向けると。  確かに、私が雷を落としたのは、モモの木のようだった。   「旦那様に言いつけておきますからね!」 「あ……!」  ご、ごめんなさい……!  
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加