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今私がいる場所は、王都グランタリスの高級邸宅街だ。
ここは王都の中心部からやや外れにある閑静で広大な一画であり、国内でも指折りの商家や貴族等の金持ち達が屋敷を構える一等地である。
つまり、通りに面する壁の向こうは、誰かの屋敷の庭だということだ。
そんな壁を横目に。
私はかなりの時間を歩いていた。
やがて私は、やっと壁と壁の切れ目を発見する。
その切れ目には豪奢な装飾を施された、金属の格子で作られた建造物が備わっていた。
その建造物のど真ん中で立ち止まる。
この、幅十数メートルに渡るただっぴろい建造物は、門だろう。
中に見える広い庭園も。
街路から分岐し、門を隔てて中へ続く道も。
間違いない。
「ここか」
庭園の奥には、真っ白で豪華絢爛な城かと思わしき邸宅が見えている。
「……クラスリー家。――うわさ通りの名家のようですね」
私は手にしていた地図を、腰のカバンに仕舞う。
そしてカバンをまさぐって。
「さて、はたして私の手に負えるのかどうか……」
変わりに一通の封筒を取り出し。
中の手紙を広げて、見る。
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