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「……そういえばお話しておりませんでしたね。……端的に言って、魔法学校への入学を、3か月足らずで成功させるのは不可能です。どのような、魔術師でも、最低1年は修練に時間がかかるものです」
「不可能!?」
「はい。できる者が居るとするならば、よほど魔法の才覚に秀でた一握り――天才の中の天才だけでしょうね」
「……つまりお嬢様には無理だと?」
「その通りです。このままでは」
メイドは少し考える。
出かけようとする意図。
このままでは、無理だ、と言った私の言葉。
「外に出るのが、なんの秘策になるのですか?」
「お嬢様を、その一握りにするのです」
「それはどういう?」
「天才にしてきます。お屋敷の外で」
「できるのですか、そんなことが?」
「解りません。ですが、ここに居続けても間に合わないのは確実です。ですから、ここより北の森にある、魔の領域にお連れしたいのです」
「なっ!?」
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