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メイドはたいそう驚いた。
当然だろう。
魔の領域とは、魔物がうじゃうじゃいる、トップクラスに危険な地域だ。
それと同時に、魔素の密度が通常の何倍も濃いとされている。
勿論、現象核も、霊的な魔物も、数多くいる。
新しい感覚を手に入れるには、もってこいの環境だ。
高い確率で魔物に襲われ、食われて死ぬ。
そんな大変危険な場所だという、デメリットさえ目をつむれば。
「そんなこと……!」
当然許せるわけがない、というだろう。
だから、納得させる。
絶対に、危険な眼には合わせないという、信用をもって。
私は、自分の胸に手を当て。
誓うように言う。
「私が護衛を務めます」
「先生が……?」
「はい。それともう一人、私の助手にも警護をさせましょう」
「助手ですって!?」
「私の助手は、こと防御戦闘にかけては無類の強さを誇ります。決して、お嬢様に危険は及びません」
メイドは逡巡する。
会って一週間の魔法使いが、どれほどの強さなのか知るわけも無いだろうし。
悩むのは当然だろう。
しかし……。
「むしろ、3か月で 三気合成を習得するというのは、これくらいしなければ無理なのです。この方法が無理であれば、今年中に入学するというのは諦めるべきでしょう。お嬢様のために」
メイドはさらに悩む。
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