リースリット と 魔術基礎実習

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 私を見るメイドから。  鏡に話しかけて、なんのつもりなのでしょう。  と、訝しむ小声が聞こえてくる。  続いて、いったいどうなってしまうのでしょう?   とワクワクなお嬢様の小声。  そして。  暫くして。 「……ん? ……なに? ……あるじ?」  鏡から、薄く掠れたような。  それでいてローテンションでダウナーな声色で。  女性らしき返答があった。  さらに。    ぬるりと。  鏡から、少女の上半身が姿を現す。  その姿は、全身真っ白で。  ウェーブとクルクルなクセっ毛は。  絹のような、白銀色で。    肌は白磁のようで。    纏うお姫様のようなドレスは、生地も、リボンも、レースも、フリルも。   染み一つない純白だった。  ただ一つ。  白の中に浮く色彩。  唯一、黄金色の双眸が。  私の姿と。  そして少し距離を置いて控える二人の姿を捉えると。    気だるげな目を。  さらにジトりと細め。  さもめんどくさそうに。   もっとローテンションな態度と声で問う。 「……用?」  そうして。  鏡から出て。  水晶のように透明な靴のヒールで、絨毯を踏みしめ。  ふわりと。  つま先までもある、長い髪を揺らし。  こちらの世界に降り立った。
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