23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
ここは仕度室。
おあつらえ向けに、準備に適した部屋だ。
さすがに、フリルだのレースだのをふんだんにあしらったリースリット嬢の普段着では、森に出向くには不向きすぎる。
まぁ――。
チラリとメイドを見て。
侍女用のエプロンとシックなドレスは、ギリギリ作業着という判定でも構わないだろうけれど。
一応尋ねよう。
まだ、ミラのことを怖がっているメイドの少女に向けて。
「あなたは、その格好で行くのですか?」
「と、当然です。仕事で向かうのですから……」
なるほど。
「それでは、お出かけの準備を致しますわ。――アシュリー、着替えるのを手伝って頂ける?」
金髪ポニーテールのこのメイドの名前は、アシュリーという名らしい。
うってかわって、まるでピクニックにでも行こうという感じのリースリットに促されて。
さらに、私と、ミラは仕度室を追い出され。
外出の準備が始まった。
馬車も準備してくれるというし。
御者の出来るメイドももう一人来てくれるというし。
あとは、魔の領域の環境が、魔術の習得に一躍かってくれるかどうか。
当たるのか外れるのか。
一か八か。
この賭けに勝てるかどうか。
それだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!