リースリット と 魔術基礎実習

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「なに……?」  それに対するは不躾な我が助手。  そして。 「なんですか、その返事は。お嬢様に対して失礼ですよ!?」  憤慨するメイドの声は、アシュリーだろう。  お嬢様の声が言う。 「アシュリー、気にしないで。わたくしは構いませんわ」  それに、「ですが!」と食い下がるアシュリーをさておき。  恐らく、話の続きを待っているであろう助手に。  リースリット嬢が続ける。 「あのとき、鏡の中から出ておいででしたけれど……。ミラ様も、魔法使い、なんですの?」 「まほう……?」  そして少し間をおいて。  ガチャ、っと馬車の扉が開けられる音がした。  私の嫌な予感とその声は同時だった。  「あるじ……」  そして予想通りの、ダウナーでローテンションな声。  ミラの暴挙に、メイドが怒るのは当然で。  ちょっと! なにしてるんですか! 閉めなさい!  アシュリーの怒声が聞こえ。  同時に、室内に入り込むであろう風を浴びて。  リースリット嬢の、どこか嬉しそうな悲鳴が続く。     それに、 「ちょっと、あの頭のおかしな人なんとかしてください」  と、御者に怒られつつ。   「どうかした、ミラ?」  私が振り返ると。  予想通り。  馬車の扉から上半身を覗かせた純白の少女(ミラ)の姿が目に入る。  
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