リースリット と 魔術基礎実習

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「・・・・・・それって……」 リースリット嬢がさらに何かを問おうとした時。 私は、察した。 もちろん、私の助手もだ。 「お嬢様、話の続きは後です。念のため、中へ」 「え? わっ!」  私が言葉を言い終わる前に。  ミラが、リースリット嬢を馬車に押し戻し、扉を閉めた。  御者のメイドが訝しむ。 「いったいなんです!?」 「敵襲ですね」 「はい!?」  しかし、ここはまだ魔の領域には程遠い場所だ。  となれば――。 「……追いはぎの類ですかね?」 「なんですって……!?」 「まぁ、でも気にすることはありませんよ。そのまま街道を突っ切ってください?」 「しかし……?」 「言ってませんでしたっけ? 私の助手は、防衛戦闘においては無敵だと――」  そんな折。  街道の両側に広がる平原から。  無数の矢が、四方から、雨あられと降り注ぐのだった――。  ――こんな殺風景な平原を。  金持ちアピール満載の目立つ馬車で走っていれば。  盗賊や野党の目に留まるのは無理もない。  気持ちは解る。  けど。  今回は相手が悪かった。 「気の毒に」
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