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警報を聞いて跳んできた衛兵に、事の次第を説明するのには骨が折れた。
特に、『解除した障壁は元に戻した』と言っても、魔法に精通していない衛兵には、確認できないことが面倒な点だった。
結局、取得したばかりの講師免許証と、クラスリー当主の手紙が効果を発揮し。
なんとか解放してもらえたけど。
「はぁ」
というわけで、今、私は既に疲れている。
しかしながら。
廊下の絨毯のふかふかぶりに感動し。
2階のガラス越しに見下ろす、広い庭園の美しさに魅了され。
随所にみられる超高価そうな調度品の数々に慄いているうちに。
どうやら着いたらしい。
眼の前を歩いていた案内役のメイドが立ち止まる。
「こちらでお嬢様がお待ちです、アダストラ様」
示されたのは、装飾の施された立派な扉だった。
つまりその扉1枚向こうには、私の生徒第一号、リースリット嬢が待っているというわけだ。
「ありがとう」
メイドに礼を言い、私は自分の魔術服のタイを締め直し、気を引き締める。
そうして、その扉の取っ手に手をかけた。
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