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リースリット嬢は、馬車の中で休んでいる。
三人掛けが可能な座席に横になり。
マントを掛布団代わりにしていた。
メイド達は、馬の世話や、野営地の小屋の中の掃除などをしていて。
その間。
馬車には私とミラが看病がてら詰めている。
床にしゃがみ。
お嬢様の顔を覗き込み、様子をうかがう私に。
少し乱れた黒髪で。
困ったような表情のリースリット嬢が言う。
「ごめんなさい、セナ先生。せっかく来たというのに、わたくし……」
決して良くない顔色で。
それでも最初よりは幾分マシになった症状で。
消沈しているリースリット嬢に、私はやんわりとよしよししながら。
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